調査の結果、多くの釜炊き製塩所では海水を簡易濾過だけで済ませている事がわかりました。

中にはこだわった濾過を行っている製塩所もありますが数える程でした。

海水には人間が作り出したゴミや不純物以外にも生物のフンや死骸、微生物等を多く含み不衛生です。

自然界の生物サイクルとしてそれらの多くを分解するためのバクテリアが作用しています。その海域の水質に適したバクテリアがその海域に生息しています。

当製塩所では海水汲み上げの時にまず大きいゴミを除去する為に目が大きいフィルターを通過させます。

フィルターは不織布フィルターを3種類使用します。網目が目に見える大きなフィルターで目に見える程のゴミは取り除き、次に15μ→5μと細かいゴミの除去を行っていきます。

大きく濾過した海水を濾過水槽でセラミックフィルターを循環させます。

このセラミックフィルターには最初で説明したこの海域に適したバクテリアを採取・固着させており、微生物や有機物を分解させます。分解したものは微細ごみと海水のミネラル分へと変化します。

同時に海水へ大量のエアレーションを行い、バクテリアの活動レベルを最大にします。

バクテリアへの酸素供給が高くなると分解速度も速くなります。

その後エアレーションを続けることで泡が水面で破裂する際に水分の蒸発を促します。

海水が1/4になるまで継続します。時期にもよりますがこの工程だけで3か月要する場合もあります。

濾過の真の能力を発揮するのが竹炭です。

鹿児島では竹の利用が盛んな地域が多く、竹炭が多く生産されています。

竹炭には微細で規則正しい穴が存在し、この穴がマイクロレベルからナノレベルの微細ごみを吸い込み除去します。この竹炭の破砕と使用する工程が当製塩所の塩作りの要部分となります。

竹炭がミネラル成分を吸着しないのか気になると思いますが、1/4までのかん水であればもミネラルはイオン化したまま大抵はこの穴は通過します。

出来上がったかん水(濃い塩水)を釜炊きする際に粒度やにがりの調整を行います。

結晶化が始まった部分でヒノキ箱に移して時間をかけて粒が大きく均一になるように寝かせます。

ミネラルを絡めて舌触りの良い粒になるコツはまた経験による作業になります。

また、釜炊きは外気遮断し、内気圧を高めたハウス内で行います。

空気中にもPM2.5や浮遊ゴミが含まれているためにハウスへ取り込む空気も特殊なフィルターを通した奇麗な空気となります。

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